浦田小たより

5 月

江戸しぐさに学ぶ

                               

校長 池田 良夫

 「おはようございます。今日はいい天気ですね。」

「おはようございます。今日は本の読み聞かせが楽しみです。」

「おはようございます。今日は運動会の練習をがんばります。」

毎朝学校ではこんなあいさつが交わされ、さわやかに1日が始まります。

私は4月の朝会で、「江戸の人々は、世辞しぐさといって、あいさつの後に一言加えるようにしていました。これは、人と人との関係を滑らかにし、和むようにするための生活の知恵です。みなさんも心がけてみませんか。」と投げかけたのです。

故(ふる)きを温(たず)ねてあたらしきを知る、ということばがあります。ご承知のように、むかしの事柄をよく識(し)り、あるいは、それまでに覚えたさまざまな事項を心のなかで温(あたた)めなおして、そこから新しい知識や道理を見出すというような意味です。

昔行われていた子育てには、現代にも立派に通用するヒントがたくさんあります。昔の人は、理屈だけで考え出すことをせず、確かな目で子どもを観察し、実践によってつかんだ、あるいは立証された経験則に裏打ちされた子育ての方法論をもっていたからです。

 「 三つ心 六つ躾 九つことば 十二文 十五理で末決まる 」これが、江戸町衆の成長段階に応じた子育ての指標でした。三歳の子どもに理を詰め込んでも身につかないのは明白ですから、まず人間の土台である心を育てよう。六歳までには、やっていいことと悪いことをしっかり身につけさせよう。九歳までには、世辞ことばなど相手へのいたわりを表現する生活技術を身につけ、人間関係を円滑にすることができるようにしよう。十二歳までには、実用的な文が書けるようにしよう。十五歳までには、知識を幅広く身につけ物事の道理が分かるようにしよう。また、筋道立てて考えることができるようにしよう。このように育てたなら、大人になっても立派にやっていけると考えました。

成長のどの時期に、どこにポイントをおいて育てるのかが明快であり、迷いがありません。そして、知識一辺倒ではなく、調和のとれた人間を育てることに重きをおいていることが分かります。

世辞しぐさは、初等教育の真ん中あたりで大切にされていた実践です。子どもの時期に育てられた人間関係技術は、大人になったとき、さまざまな「江戸しぐさ」として発展していきます。

人ごみのなかで足を踏まれたとき、踏んだ方は言うまでもありませんが、踏まれた方も「こちらこそ、うっかりしまして」とあやまる「うかつあやまり」。雨や雪のとき、相手も自分も傘を外側に向けて相手に傘からはねた水や雪がかからないようにする「傘かしげ」。狭い路地を歩いていて、向こうから人が来たとき、お互いに右肩を少し引いて体全体を少し斜めにしてぶつからないようにしてすれちがう「肩ひき」、これらは「江戸しぐさ」といわれています。

今年は、ささやかな実践ですが「江戸しぐさ」の中の「世辞しぐさ」を育てたいと考えています。ご家庭でも学校での実践を踏まえて声がけをしていただければ幸甚です。



6 月

        一人一人の感性を耕す いじめ根絶の土壌づくり

                          校長 池田 良夫

 「いじめゼロスクールの継続」は、成果目標の一つです。昨年に引き続き今年もグランドデザインに位置づけています。これまで、本校では深刻ないじめはありませんでした。しかし、いじめがないからといって、指導に軽重をつけるべきではなく、常に優先しなければならない課題として学校教育全体を通して力点を置いて指導していきます。学校だよりの4面に記載した「いじめ根絶県民運動」についても、「県民総ぐるみ」でいじめ根絶に向けて意識を高め合う好機としてとらえ、積極的に取組を進めていきます

私は、いじめをなくしていくために次のような指導を大切にしていきたいと考えています.

 1実感に支えられた命の大切さの指導をする 〜連綿とつながる生命の尊さに気づかせる〜

 「いじめを苦にして生命を絶つ」という事件ほど痛ましいことはありません。そこで、子供たちに自他の生命の大切さに気づかせていくことが必要です。指導にあたっては、生命と生命とのつながりを感じさせたり、関係性を実感させたりすることを通して「生命は尊い」という感情を醸成していくことが肝要です。小学生という発達段階を踏まえると、理性的な理解より、実感させて感得させる指導がふさわしいと思います。そのためには、誕生を契機に父母と自分との関係が生まれたこと、それは父母にとって尊い宝を得たというかたちで迎えられたこと、父母にはまたその父母がおり、同じようにして命が伝えられてきたこと。このように、自分を中心とした最も身近な事実、自分の経験している感情でとらえられる事柄から「生命の大切さ」という理解の入り口に立たせたいものです。私はそうした着眼点に基づいて折に触れて全校児童に伝えています。ご家庭におかれましても、家族のつながりに関する話をしたり、お子さんが「かけがえのない存在として認められている、大切にされている」と思えるように接したりしてください。肌で感じることができる指導こそ、概念的にはとらえることが難しい生命の尊さに関する指導になります。

 2 同和教育の視点から行う道徳の授業で感性を耕す

 いじめは一人では起こりません。いじめは、いじめる側に立つ人といじめられる側に立たされた人との間に生まれます。では二者の間の関係としてとらえればいいのでしょうか。そうではなく、いじめを見ている人の存在を加えて考えないと意識は深まりません。いじめられている人にとって、目の前でいじめが起こっているのに、見ている人は何もせず、何も言ってくれず、ときにはかすかな嘲笑さえ浮かべている姿を見たときに孤立感や寂寥感におちいるからです。このいじめの三者構造の視点を提起したのは同和教育です。学校では、同和教育の視点から、教材にでてくる具体的な話を追体験させ、子供たちに考えさせます。こうすべきだという教訓的な指導だけでは、これからの自分の言動を切り拓いていく力になりません。登場人物の迷い・躊躇・後悔などの心の揺れや、いじめられている人の心の痛みなどを共感的にとらえ、考え、友達とともに話し合うことによって意識は深まっていきます。今年も3学期に全学級で道徳の一斉参観授業を行う予定です。保護者の皆様と共に語り合う契機にします。

 3 認め合い支えあう人間関係づくりを学級経営の基盤にする

 物かくしが起こる、ひやかし・からかい・悪口が横行する、特定の仲の良い友達だけで行動する、このような人間関係の様相は、いじめが発生する温床となります。学校では、観察・教育相談・Q−U調査などで常に実態を把握するための努力をしています。そしてなにより、活動を仕掛けながら、認め合い支えあう人間関係づくりをしています。人間関係をつくる技能を社会的スキルといいます。8月には社会的スキルを指導するための職員研修を計画しています。互いのよさを認め合い、困難に対して支えあう人間関係づくりを学級経営の基盤にしていきます。


7 月

子どもの元気は学校の元気 学校の元気は地域の元気

                                校長 池田 良夫

七夕の日に、ふるさと浦田に集う会がありました。(浦田会総会) 当日は、200人を越す人々の熱気が体育館を満たしました。会場のあちらこちらで、ふるさとの思い出話があたたかく交わされました。

会のオープニングで浦田小の子供たちは「よさこいソーラン」と「豊年太鼓」を演じました。会場の皆様からは、割れんばかりの大拍手をいただきました。そして、この浦田会総会が終わったあとで、主催者の一人である飯塚哲郎さんから、当日の写真を添えて、次のような感想を寄せていただきました。

今回のイベントにはいくつかの意義があります。何と言っても第一は、浦田小オールキャストによる「踊りと太鼓」です。多くの参加した人々に「すばらしい感動と元気」をプレゼントしたことです。かく言う私も胸にこみ上げてくる感動と涙で、乾杯の挨拶ができないのではと心配しました。これも子どもにこれだけの表現力をつけた先生方の力と子どもたちの能力の高さです。今後子供たちの将来が明るく開けるようにしていただきたい。(一部抜粋)









私は、この感想を読みながら、子どもと地域の関係を実感しました。

子どもは家庭の宝、地域の宝。

子どもの元気は学校の元気。

学校の元気は地域の元気。

これからも、このフレーズを基本において、子どもと学校、子どもと地域の関係をつくっていきたいと考えています。

1学期が終わります。これまで、保護者の皆様や地域との結びつきを大切にして取り組んできた内容について振り返ってみました。結びつきとは、連携を図ることです。親密な連携は、教育活動に大きな果実をもたらします。今後も、連携が掛け算の相乗効果となって表れていくよう努めていきます。ご協力をお願いいたします。


  

    9 月

かかわりが縁となって学びが生まれる

 今年の夏は、いつもより蝉の数が多かったようです。不思議なもので、人の心の具合によって蝉の鳴き声もちがって聴こえてきます。あわただしく過ごしているときは、ジージーとまとわりつくようにうるさく聴こえてきます。そうかと思うと、しっとり気持ちが落ち着いているときは、しみ入るように潤いを帯びて聴こえてくることがあります。こんな日は、何かを学びたくなるときです。

蝉の音というささやかな日常的事象であっても、自分自身の「かかわろうとする気持ち」や「かかわり方」によって、もたらされるものがちがってきます。

 そういうことから、始業式では「かかわりを大切にして充実した2学期にしましょう」と子どもたちに語り掛けました。

 生き物・自然・風景とのかかわり

 1・2年生は、4羽のうさぎとのかかわりを通して、「大切なもの」「かわいらしい友達」としての関係が培われてきました。今では毎日、朝のあいさつに加えて「うさぎが元気にしているよ。」などの感想をすすんで言ってくれるようになりました。

3・4年生は、これまで化石発掘や地域の川の生き物探しをしてきました。化石を掘り出して手に載せ、土をはらってみる。貝の形が確かに見える。土に埋もれていた何万年もの時間が堰(せき)を切って一気に流れ、遥(はる)か昔の貝が目の前に蘇(よみがえ)った感覚を、貝の重さや手触りに置き換えて感じたのではないでしょうか。これは、化石とのかかわりです。ジャケットを着け、川にザブザブと入って生き物を探しました。網をすくってみると小さな生き物が網の中で蠢(うごめ)いている。川の中の生き物と仲よしになりました。かかわりによって自然との関係が豊かになりました。

 5・6年生は今年、南雲さんの協力を得て稲を育てています。家のお手伝いで稲づくりをしたことがある人、初めて育てる人、それぞれがそれぞれに、普段食べている主食としての米や、地域の営みの伝統として続いてきた稲作へのかかわりが深まっています。また、キョロロの事業との連携で「ダイジンガー」に取り組んできました。自分の住んでいる地域の風景を、写真という媒体を中心にして、絵柄として視覚にとどめ、まわりの人々に発信しました。こうして、地域が「ぼくの・わたしの浦田」という固有名詞になってきました。

 さわらび祭では、総合的な学習で学んだことを劇にして発表することになります。確かなかかわりから生まれた学びの成果を振り返ることができればいいなと願っています。

 人とのかかわり

 いつも一緒にいる友達であっても、新しい気持ちで縁を育て学び合ってほしいと思います。人と人とのかかわりは多様です。切磋琢磨し合う、高め合う、支え合う、認め合う、声を掛け合う、和み合う、分かち合う、協力し合う、このような動詞で表されるようなかかわりが、2学期にたくさんみられることを期待し、また、そうなるように支援したいと考えています。

 


    10月

夜空の星をつかめるか

秋もたけなわとなりました。空気が澄み、夜空の星がとてもきれいです。降るように輝く満天の星は、あまりにも美しく、つい手を伸ばしてつかもうとしたことはありませんか。つかめそうでつかめないもの、それは人の心も同じです。

 さわらび祭のスローガンは、「浦田っ子のチームワークで地域の人の心をつかもう」です。表現したもので、保護者や地域の皆様の心をつかみ、感動を共有することこそ、最も尊く、むずかしいことであると子どもたちに話しています。だから、むずかしいことだけれども、せいいっぱい演じて、感動のあるさわらび祭を創りあげようと呼びかけています。その実現に向かって、子どもたちは、今、「全校劇 浦田ならではの心〜民話三部作から『河童のつめあと』〜」の練習に一生懸命励んでいます。

 進化し続ける脚本

 浦田小には、全校劇の脚本として民話三部作があります。「蛇切丸」「みょうきん」「河童のつめあと」の三つです。どの脚本も先人が苦労して創り上げてきたものです。「河童のつめあと」の脚本作成についてのエピソードがあります。平成61019日付けの5年学級だよりHEROに載っていたものを紹介します。「………奈保さんの家に浦田村史があると聞いて、浦田の歴史を少し調べてみました。河童のつめあとのことも少し書いてありました。さて、いよいよ物語をつくるとなるとよい考えが浮かんでこないものです。思いつく設定やエピソードを次から次へと書き並べ、その中から主なストーリーを決めようと考えたのですが、なかなか考えがまとまりませんでした。……」呻吟しながら浦田村史に数行載っていた河童のつめあとの記述をもとに、想像を広げて脚本づくりをした様子が伺われます。

このようにしてできた脚本を大切にしつつも、それらを土台にして今年の脚本は、平成19年度版として新しく書き換えたものです。ストーリーが分かりやすいように、骨太でシンプルな筋書きが児童劇では特に求められます。そして、劇をとおして観てくださる方々に訴える主題もほしいところです。しかも、子どもが引き立ち、明るく、テンポよく、さらに方言や事柄によって浦田の特色が薫り立つように……。

 河童のつめあとの全体の脚本は、村山先生が担当しました。各学年の生活・総合の脚本は担任である佐藤先生、平野先生、村山先生が書き上げました。夏休み後半に、最初の原稿の読み合わせ会を行いました。苦労して書いたものを思い切って捨て、書き直しもしました。全職員と子どもたちとが一緒になって、よりよい全校劇を創りあげようと力をあわせています。

 劇による表現は生活・総合で学んだことを確かなものにする

 12年生は、うさぎとの出会い・交流・別れを劇にします。劇で歌う「うさぎのともだち」は、オリジナルの作詞・作曲です。いのちについて学んだこともせりふの中に入っています。

 34年生は、化石採集での発見・驚きなどを劇にします。上越教育大学の天野先生の登場は、昨年度に引き続いてこの劇になくてはならないものになりました。

 56年生は、米づくりとダイジンガーの取組を劇にします。活動にあたって地域の皆様からはアンケートに御協力をいただきました。回答していただいた内容から受け止めたことを表現します。

 このように、生活・総合の活動を振り返り、学んだことや、学んでいる自分たち自身の姿を、せりふや動作、登場人物相互の掛け合いなどで表現します。これこそ、一晩寝たら忘れるような浅い勉強とはちがい、確かに身につく学習だと考えています。

当日は、熱演する子どもたちに、ぜひとも熱いまなざしを注いでください。


    11月

さわらび祭」で深まった地域と学校との絆

初雪は昨年より早く、季節が足早やに冬へと向かっています。さて、11月は「さわらび祭」があり、大盛況のうちに終わりました。活動終了後にたくさんの皆様からアンケートの回答と感想を寄せていただき、ありがとうございました。その中から感想の一部を紹介させていただきます。

        学習発表(各学年)から劇への流れが自然でよかったし、方言の言い方、視線、すべてがりっ

ぱでした。先生方も子供たちも200%の力を出された気がします。“心”に涙々で見せていただきました。

○ 地域を知り、地域を愛し、地域を誇る心がいっぱい溢れていましたね。感動です。地域中が、自分たちの学校、自分たちの子・孫として温かく見守っていることが伝わってきます。最高の学校ですね。

○ 地域をしっかり見つめていることに感動しました。構成もよく、構成を盛り上げる表現が良く、普段の学習成果が大きな花を咲かせてくれました。見ていて心から拍手したい気持ちになりました。                     

こんなあたたかい視点で学校の活動をとらえ、感想を書いてくださいました。劇を演じた子どもたちは、うれしくなり、「たいへんだったけれど、せいいっぱいがんばってよかった。」という気持ちになりました。 

また、みんなで力を合わせて、心を揺さぶるような感動を創り上げることができたという自信は、これから新しいことに挑む際に積極的な心構えを引き出していく源になると私は信じています。

職員にとっても、子どもの力を最大限に伸ばそうと努力している姿や、全教育活動を通して地域を大切にする考えを推し進めている姿勢が認められたことは、仕事をしていくうえでの励みになりました。本当にありがとうございました。

自分に合った間合いで考える読書の時間

これから2学期の後半にかけては、じっくり学習に取り組んだり、落ち着いて読書したり、冬のスキーに向けた練習を始めたりして、さらに充実したものにしてほしいと思います。

1年を通して学ぶ意欲を持続させるためには、生活に「動」と「静」の変化がほしいところです。「静」の時間の過ごし方として、読書は最適です。読書は、テレビとちがって、自分のペースで読み進めることができます。早読みをすることもできますし、じっくり余韻をかみしめながら読むこともできます。ぺージを閉じて立ち止まり、しばらくしてから再び読むということもできます。このように、読み方は自分次第で、自由自在です。自分に合った間合いを取りながら、豊かな時間を過ごせることが、読書の魅力のひとつです。

読書が子どもたちの生活の一部になり、読書習慣となって定着させたいものです。そのために、家庭でもこんなことを心がけていただければありがたいです。

一 こまめに本を借りたり買ったりして、常におもしろそうな本がまわりにあるという環境にする。

一 親子のふれあいの時間として、本の読み聞かせを、構えずに、気軽に、日常的に行う.一 ためになる本を無理して読ませるよりも、子どもがおもしろそうだと感じた本をどんどん推奨する。

一 ノーテレビデーをもうけて、家族みんなが読書などでゆったり過ごす時間をつくる。


    12月

裏地の織りのていねいさが、子どもの成長を下からしっかりと支える

   

 師走になりました。今学期も保護者の皆様や地域の皆様からたくさんの御支援をしていただき、ありがとうございました。2学期は長丁場であり、多彩な教育活動を行うことができました。子供たちが立つにふさわしい舞台を探し、その舞台で輝くことによって次へつながるように、教え、支援し、一人一人のよさを引き出すように努めてきました。

学力・学習状況調査の達成状況や課題及び改善策については、期末PTAで説明させていただいたとおりです。達成状況については、新潟県や全国の平均と比較して上回ることができました。体力テストにおいては、前年度との比較で伸びていた子どもは、全体の41%おり、5段階評定でC判定以上の子どもが全体の84.6%いたことは、2学期初めの保護者全体会で御説明させていただきました。

このように、測定することができ、目に見える教育成果もありますし、目に見えにくい成果もあります。同じように、目につきやすい取組もありますし、目立たない取組もあります。

目立たない取組の一例を紹介します。学校では、豊かな心を育てたいと願い、年間を通して子どもたちと松涛園の皆様との交流をしています。それで、「運動会」「さわらび祭」「浦田っ子祭」などの行事へは、松涛園の皆様から参加していただくように御招待をしています。

招待状は、「教師がパソコンで作成したものを施設にまとめて届ける」のではなく、手間はかかるけれども「子どもたちが自ら工夫して作った案内状を、一人一人のお年寄りに一言ずつことばを添えて直接渡す」ようにしています。作成には時間がかかりますが、子どもたちの心を耕すことにつながると考えて、効率を追わずに、このような実践をしています。

また、活動があるたびに、御指導いただいた方やお世話になった方へ、感想文や礼状を書いてお届けするということを小まめにやっています。感想や御礼を伝えることで、人と人との出会いを大切にしていく気持ちを育てるとともに、書くことを億劫がらずに表現できるようになってほしいと考えているからです。

それから、『世辞しぐさを身に付けよう』という指導を続けています。『世辞しぐさ』とは、「おはようございます」のあいさつのあとに「今日は寒いですね。」の一言を加えたり、「今日は○○の活動が楽しみです。」と言ったり、「今日は○○をがんばります。」と添えたりして、相手とのコミュニケーションを積極的に図っていくようなしぐさのことです。この取組によって、人と人との関係を円滑にするための気構えやコミュニケーション技術を身に付けさせたいと考えています。

さらに、こんな子どもたちのすばらしいところもあります。靴の『入船』『出船』が浦田小学校の子どもたちはとてもよくできているのです。『入船』『出船』というのは、ご存じのように、靴の揃え方のことです。靴のつま先を手前側に向けて、きちんと納め置く揃え方を『出船』、その反対の置き方を『入船』というわけですが、いつ見てもよくできているのです。粗野な身のこなしと、洗練された身のこなしの美醜を見分け、躾に生かしてきたのは日本人の感性のなせる業です。そういうことが子どもの身についているのは、家庭教育が健全であることの証でもあります。

平凡でありふれたことであっても、生きていく基本となることはおろそかにすることなく、大事に育てていく必要があります。それは、着物で言えば「裏地の織りの丁寧さ」に例えられます。学力テストや体力テストに表れない、「礼節」や「人と調和を図りながら生きていこうとする心情や技術」「表現力」「社会人の基礎となる身のこなし・言動・判断力」などへもしっかりと目を向けて、育てていきたいと考えています。